この度、中原理事長、藤井学長から、日本歯科大学歯学会(以下歯学会)の会長を拝命しました影山幾男と申します。任期は2023年6月から2025年6月となります。
歯学会の会員数は8,272名です(2023年10月3日現在)。会員は本学の教職員・大学院生・校友会員等で構成されております。ほぼ全員が歯科医師で、8,000名を超える大学団体は他の追随を許しておりません。『数は力なり』とは、ある首相の名言ですが、全く同感します。
歯学会は学術団体です。その目的は『歯学学術の発展向上を図ると共に、日本歯科大学の発展に寄与する。』とあります。
歯学会の具体的な事業内容について、以下に記述します。(ホームページ参照)
1. 歯科医学に関する学術集会の開催
1) 日本歯科大学歯学会大会・総会
2) ウインターミーティング(Winter Meeting)
3) セミナー・フォーラム・発表会等の単独・統合開催
2. 会誌の発行
1) 英文誌「Odontology」
2) 歯学特集号
3.学術研究の奨励と若手研究者の育成
「学術研究奨励賞」の授与、各種表彰。
4.校友会との連携・協力事業
1)校友会・歯学会会報の発行
2)地区歯学研修会の開催
3)都道府県校友会学術講演会への講師派遣
4)6学年に対するオリエンテーション開催
5)校友会・歯学会入会歓迎会の開催
5.歯学会ホームページ充実
6.国際交流の強化と事業への協力
ご覧いただきましたように、歯学会は様々な事業内容に従事しております。事業運営に多くの教職員に携わっていただいております。(役員及び部員名簿:参照)。運営にあたりましては、経費の有効使用について、充分配慮していく所存でありますが、必要経費も相当額に達する見込みです。つきましては、昨今、何かと厳しい状況とは存じますが、歯学会の趣旨にご賛同いただき、ご支援、ご協力を賜りますよう何卒、よろしくお願い申し上げます。
Odontology について一言申し上げます。
Odontologyの遡源は日本歯科大学の創立された翌年の1908年に創刊された本学の邦文学術誌、歯科新報であります。その後変遷を経て2001年に英文の国際学術誌Odontologyとなりました。2003年にはアメリカ国立医学図書館のデータベースMedlineに収録され、さらに2006年にはThomson ISI(現在Clarivate Analytics, Web of Science)に登録されて、2009年に最初のインパクトファクター、IFが付与されました。この厳選された世界の優れた歯科系専門誌90誌の中でOdontologyは32位の1.91(2016年)という高いIFとなりました。さらに現在では2.885(2022-23年)という驚異的な高さを示しております。
若手研究者の中には、インパクトファクター(IF)の過重視、最先端の研究以外、見向きもしないなどという人がいます。しかし、はたしてそれで良いのでしょうか。ノーベル化学賞受賞者:下村脩先生の著書からも、先生は最初からノーベル賞など取る気は毛頭なく、休みなく、一生懸命、研究を続けていたら、イクオリンという発光物質とGFP(緑色蛍光タンパク)の偶然の発見につながったそうです。
最後に『自利利他』という言葉をご紹介申し上げます。『自利利他』とはまず己が経済面、仕事面などで自己確立した後、援助が必要な方々を助けましょうという仏教の言葉です。 私は、この言葉を座右の銘としております。半分は自己の確立を、半分は他人のことを考え、助けていく。利己心、または利他心だけが強すぎると若手はついてきません。この2年間『自利利他』の精神で邁進させていただきたく存じますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
日本歯科大学歯学会 会長 影山幾男